news海外現地校視察レポート:入学時IQ130以上!米国シリコンバレーのトップスクール The Nueva School

2019.11.12

GKのスタッフが現地に実際足を運んで得た情報をみなさんへシェアする海外視察レポ―ト。今回はベイエリアNo.1を誇るThe Nueva Schoolを訪問してきました。私も今まで視察したスクールの中で一番印象に残った学校です。当日は、100名以上参加する中、日本人は我々のみでした。スティーブ・ジョブスの娘も通っていたというこの学校。GKでも、子どもの海外進学を検討されいる方のご相談が増えています。そんな皆さんに参考になればと思います。

The Nueva Schoolについて

The Nueva School(ヌエバスクール)は、1967年にKaren Stone McCown氏(カレン・ストーン・マカウン)によって創立されました。教師を務める両親の元で育った彼女。教育現場では、成績の悪い人、学習障害などがある人には多くの注意が向けられていたものの、才能のある学習者にはほとんど対策がなされていないことに気が付きました。それから5年間、カレンは著名な教育者、ノーベル賞受賞者、心理学者、医師、およびビジネス界の人々と会い、才能のある学習者のニーズ、学校内のリソース、および社会のニーズを調査、その結果を反映する形でヌエバが設立されました。当時は、メンローパーク(カリフォルニアのサンフランシスコベイエリアに位置する街)の古い建物にあり、幼稚園、1年生、2年生のみでした。 1971年、現在の中学校の場所に移転。現在では、幼稚園から12年生(高校)までの900名近い選ばれた才能のある生徒が在籍しています。

ヌエバの特徴

ヌエバの特徴は、批判的思考と問題解決力を重視したアカデミックカリキュラム、かつSEL(Social Emotional Skill)に力を入れています。生徒が自尊心を養い、選択と行動に責任を持ち、協力的な問題解決に必要なスキルを養います。教育界においてもイノベーティブな教育方針で、1987年、88年、96年、97年、2010年と過去に何度も米国教育省ブルーリボンスクール賞を受賞しています。 Nuevaは、ILC (Innovative Learning Conference)、Design Thinking Institute、Social Justice、Equity&Inclusion Instituteなどを含む多数のアウトリーチプログラムを開催しています。

これからの必須スキル:SELに注力しているヌエバ

ソーシャルスキル&感情マネジメント学習(SEL)は、感情の理解とコントロールする力、他者への共感力、目標達成のためのモチベーションを保つ力、他人と良好な関係を保つコミュニケーション力、論理的かつ道徳的な責任ある決断力養うための学習です。Collaborative for Academic, Social, and Emotional Learning (CASEL) と表記されることもあります。ヌエバは、論理的思考力、創造力に加えSELに注力しています。ヌエバでは、プレスクール(日本でいう幼稚園)からSELが行われています。実践にあたり、以下のようなツールボックスが用意されています。

source : https://akomblog.org/tag/udl/

ヌエバでのSEL ツールボックス一部紹介

  • i-statement
  • active listening
  • emotion thermometer
  • garbage can
  • personal space/boundary bubble
  • put ups/filling buckets
  • relaxation/mindfulness
  • appreciate
  • de-escalate
  • win-win solution
  • cool down/calm down

どれも興味深く、自分の感情をうまくコントロールすることはスキルとみなし、きちんと幼少期からその方法を教えていくという方針が伺えます。天才児と言われる人は、内向的だったり、感情を既存の言葉では上手く表現しきれなかったりするので、それを補うためのトレーニングであると感じました。例えば、Emotion Thermometer では、色や数字で感情を表現するそうです。veryなどの単純表現ではなく、「火山が爆発しそうなくらい怒ってる!」、「空まで飛んでいけそうなくらい嬉しい!」など自分の言葉で感情の強弱を学びます。Active Listeningとは、聞き取り力のことですが、これはただの英語のリスニング力ではなく、話を聞いて相手の気持ちを理解しようと努めることです。子どもたちのお気に入りは、garbage canだそうです。物事をlet go (手放す)こと。時には上手くいかないこともある中で手放すことを覚えます。最近の研究では、SELSAやDESSAシステムなどのEQを高める学習を受けた学生は、高校卒業率や大学卒業率が高いという結果も出ています。

大人も受けたい!問題解決力を養うデザイン・シンキングのプログラム

source : The Nueva School

ヌエバには、I-Labsというイノベーション・ラボがあります。ここでは、学生達が設計、プロトタイプ作成、製作を行うことができます。自身の興味を追求することでデザイン思考の実践を促進できるように設計されています。デザイン・シンキングは、プレスクールから12年生まで全ての学年において行われています。エンジニアリングやコンピューターサイエンスも取り入れられており、急速に変化する未来に備えることができます。 i-labは、授業のみならずランチタイムや放課後に利用することができ、実に、学生達の学校での時間の72%をI-Labで時間を過ごすそうです。

スクールを訪問した際に、最近取り組んだ課題について先生がお話してくださいました。ある日、クラスメイトが怪我をしてしまい車いすで学校にやってきたそうです。学校内で生活するのに今まで気づかなかった障害に気が付いた子ども達。先生もそれをくみ取り、デザイン・シンキングの授業でそれをプロジェクトとして取り上げました。1日中、車いすの子に着いて周り子供たちは課題を上げていきます。それが終わったらどうしたらこの不自由な生活を改善できるかを考え、実際にそれを実行に移していったそうです。大人が考え付かないようなアイデアも多数あったそうです。

デザイン・シンキングを実践するにあたり、決められたカリキュラムをこなすだけでは机上の空論になってしまい、はなかなか本当に問題を解決する力を養うことは難しいため、ヌエバではなるべく日常生活に基づいた子ども達にとって関連性のあるテーマをプロジェクトにしているそうです。

なぜ今ヌエバなのか

ヌエバがなぜここまで注目されているかは、教育方針が根本的に既存の学校と異なる点にあると思います。既存のテキストや決められたカリキュラムをこなしていくスタイルの受け身教育ではなく、自ら興味のある分野の学びを深めていく、またそれを許す環境があるという点です。ここで注意したいのは「ただおもむろにやりたいことをやらせ放置する」ということではありません。ヌエバの募集要項にもある通り、入学時IQスコアが130以上あれば同校で上手くやっていけるとあります。物事の基礎概念が幼稚園を始める前に習得できていることが前提という意味です。昨今、お題にそって学ぶアクティブラーニングなどが注目されていますが、これは基礎が入っている子どもがやるので意味があります。インプットがない人がアウトプットのアクテビティラーニングをやってもあまり意味がありません。かといってインプットだけでは、実践力が付きません。得た情報を他人へきちんとわかりやすく伝達できる力を養う場所がヌエバにはあると思います。シリコンバレーの最新テクノロジーに囲まれたこの土地でこの学校が人気なのは、これからテクノロジーがさらに発展し、単純作業はA.I.に任せる時代に備えるための答えがあるからだと思います。人間にしかできないことは何か。その問いを日々考えている世界最先端のエグゼクティブ達が子どもの将来のために求めている教育環境。ヌエバにはそういった力を育む場が存在します。

おまけ:ヌエバの1日:キンダーのスケジュール例

ここまで見てきて実際どんな日々を子ども達が送っているのか気になった方も多いかと思います。キンダー(年長)のスケジュール例をご紹介します。

8:30   朝礼
8:45   エグゼクティブ・スキル
9:15   サイエンス
10:15 スナックタイム
10:45  SEL
11:45  ランチタイム

12:45  レッスン
13:45  ブレイク
14:00  算数
15:00  下校

日本の保育園や幼稚園も最近ではレッスンをやったりしているところもありますが、アメリカではキンダー(日本の年長)は小学校の準備学級なので、もう文字を書いたり、科目別の授業があります。日本から海外進学、特にアメリカへの進学を検討している場合はキンダーからスタートすることを念頭に準備したほうが良いと思います。この準備期間なしに、小学校をスタートするのは難易度が上がります。

まとめ

これまで海外の学校をいくつか視察してきましたが、ヌエバは中でもとても魅力的でした。これからの時代を生き抜くスキルが身に着く場と思ったからです。今、教育界も根本的な改革を求められていると思います。教育として変わらないことはあるものの、これまでの教育だけでは社会で生きていけない現実もあります。それには、既存の教育界と社会のコラボレーションが必要だと思います。ヌエバはそれをうまく体現している場所と思いました。ヌエバには、教員歴の長いベテランの先生方もいる中で、デザイン・シンキングの先生は、もともとは企業で働いていたキャリアウーマンの方です。そういう社会でキャリアを積み上げてきた人だからこそ見えることもあると思います。
これからの子どもたちは、急速に発展するテクノロジーを理解への理解、また人間にしかできないことを伸ばすこと、両方やっていかなければなりません。日本の子供たちは、これらの力に加え英語力やグローバル対応力を育むことが必要です。ヌエバに限りませんが、GKでやっていることは通じるものがあると感じました。日本だと海外進学というと英語だけやればという方が多くいますが、英語だけでは絶対入れません。逆に英語ができないとグローバルで活躍するのは難しいと思います。GKではこれからの時代に必要な力+英語をツールとして使いこなすことを目標にしています。日本からヌエバの様な学校に行く子が増えること、また日本国内にそういったスクールが増えることを願っています。

視察レポート by 満木 夏子